二国間貿易協定は未来の中国を利する

作成 2017-01-25 | 更新 2017-01-31 03:34

トランプ米大統領、二国間で協議

2017/01/25 水朝日新聞朝刊 1面
車貿易日米協議を示唆
トランプ氏「不公平」
　トランプ米大統領は23日、日本との自動車貿易を「公平ではない」と批判し、
貿易赤字を解消するために二国間で協議を始める考えを示した。
環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）から「永久に離脱する」とした大統領令に署名。
日米の同盟関係を深めるはずのＴＰＰ
が頓挫した上、貿易摩擦の懸念も出ている。

30年前からタイムスリップしてきたのかよ・・・

10年後、中国経済は復活する

バブル崩壊後の日本経済を見て、中国の李鵬首相は「50年後には日本は消滅している」
と軽口を叩いていた。日本は野党連合の政治混乱の後、自民党の小渕内閣で不良債権処理
にとりかかり、小泉内閣の時代に不良債権処理を終えて、日本経済は正常化する。

2015年頃に中国もバブル崩壊を迎えて、不良債権に苦しんでいる。また過剰生産もある。
しかし、10年後には中国経済は復活する。14億人の単一市場の力で世界を圧倒する。

自由貿易協定の今

WTO(世界貿易機構)のウルグアイ・ラウンド以降の多角的貿易交渉は停滞、
二国間貿易協定や地域貿易協定を結ぶ国が増えた。
ところが中国経済台頭以降、アジア地域における二国間貿易協定は
中国の不公正な貿易ルールを押し付けられる脆弱性をあらわにした。
中国の巨大市場への参入のために、各国は不公正な政治介入を許してしまうのである。
だからこそ、日本はアジア地域と米国を巻き込んで多国間地域貿易協定を結ぶことに尽力してきた。
アメリカも、中国の単一市場の力に一国で対応するのは無理だとわかり、TPPに入ってきたのである。

二国間貿易協定の果実

トランプ大統領になったら二国間貿易交渉を行うって、何言ってんだ。
しかも内容が30年前の話だ。
今の中国経済はバブルが崩壊して停滞しているが、10年後にはかならず復活する。
そのとき TPPのような 8億人の自由で公正な多国間貿易協定が存在しない場合、
各国は中国との二国間貿易に流れてしまうのである。
米国が頑張っても14億人の単一市場の求心力には勝てない。
米国にとって、二国間貿易協定は中国経済の復活でいずれ不利になるのだ。

トランプ大統領は、中国経済復活前に環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）を破壊し、
二国間貿易協定の地ならしをしている。
米国が米国市場の大きさを利用して、二国間貿易協定で各国に不公正な貿易ルールを強いていけば、
10年後、不公正な二国間貿易協定の果実はアメリカではなくて中国が食らうのだ。

中国の横暴

中国経済の調子がよかったとき、経済界がまず国益を害していた。
米国シスコシステムズ社が中国でルーターを売りたいがために、
中国の検閲システムに適合するルーターを作成して販売。
ユニクロは中国で生産販売をしていて、柳井社長は日中の尖閣諸島をめぐる対立時には、
「尖閣諸島の主張など偏狭な愛国心排すべき」と主張。

中国市場に参入するには、暗号通信を禁止する、特許技術をよこせと、やりたい放題だ。
中国経済の復活とともに、こういう横暴も復活する。